2017年2月7日火曜日

Helpの魅力に迫る。リズムの妙からハーモニーまで。

Editor : Yosuke Hayashimoto

ビートルズの名曲群のなかでも屈指の知名度を誇ると思われるHelp。
当時のジョンは精神的に結構しんどかったようで、いっぱいいっぱいな具合を吐露した曲。
太ったエルビスのようだったと当時を回想するジョン。

これは初めて自分の心情を託した曲で、それまでのラブソングとは決定的に違うと
ジョン自身が回述しています。

そのような曲を書くに至ったのはディランの影響も大きいとのこと。

今回はHelpの魅力を音楽的にな見地から少し見てみたいと思います。




一回しか出てこないバース
Helpで一番有名であろう歌い出しのバース。
最高にかっこ良くてとても印象的。
しかしこの最初の1回しかでてきません。
ビートルズは本当にメロディーの使い方が贅沢!

この1回だけが効いててもう一回聴きたくなるのかもしれません。


実は跳ねてないイーブンなドラム
全体を聴くと跳ねたシャッフルビートに聴こえますが、実はよくよく聴くとドラムはイーブン。
ではなにがこのシャッフル感を生み出しているかというと一番はポールのベース。
4分音符を中心としたフレーズや8分裏のリズムのタイミングのゴーストによって
4ビートっぽい感じがでています。
これによってシャッフル感が出るんですね。
そしてそれを受け止めるリンゴの完璧にストレートではない絶妙なスウィング感を持ったドラムとそれにマッチングしているジョンのリズムギター。

この3人のリズムが合わさってのこのグルーヴです。
この辺はまさにバンドサウンドの妙。
このバンド、このメンバーでしか出せないビートといった所です。

またこのシャッフルっぽ雰囲気が全体に漂っていることによってBメロ前のドラムのフィル、ズダダダダダダダというストレートなフィルがとても良いアクセントになっています。


ジョンの曲作りに多い、長いスパンのコード進行

Bメロはバースのコード進行と同じですが、それぞれのコードが2倍の長さになってます。
Bm、G、Eがそれぞれ2小節ずつです。
コードを弾きながら歌ってみると結構長く感じます。
合間になにか他のコードが入ってきても良さそうな感じがしますが、あえてコードを変えずに引っ張っていることで、ギターで弾いているコードのルートをつなぐ下降進行と対比がついて聴こえます。

一つのコードを長く引っ張るのはジョンの曲作りによく見られます。


ラストのA6
一番ラストのコード、A6。
コーラスでもAに対する6th、F#が歌われていて6thのノートが意識されています。
6thが入ることにより響きがF#mに近くなり、 単にAで終わるよりも若干暗めな雰囲気になります。
F#mだともろにマイナーで暗すぎるので、この6thの少し影を感じる、言うなれば迷いを感じるこの響きがこのHelpという曲のテーマに合っていると思います。
コードの解釈としてはF#m/Aの方がわかりやすいかもしれませんね。