2017年1月10日火曜日

ビートルズサウンドを支え、レコーディング史を変えた男、ジョージ•マーティン。 その仕事ぶりに学ぶもの作りの姿勢。

Editor : Yosuke Hayashimoto

僕の最も尊敬する人物の一人、ジョージ•マーティン。
言わずと知れたビートルズのプロデューサー。
5人目のビートルズとまで言われる彼の功績なしにビートルズの音楽はもちろん、レコーディング技術の発達もあり得なかったと思います。

ビートルズのアイディア、時にはひどく抽象的なものもとことん正面から受け止めて具現化する。
その姿勢と手腕は知れば知るほどだただた脱帽するのみ。

もし神様にだれでもいいから会わせてもらえるとしたら僕は多分ジョージ•マーティンというでしょう。
レコーディングやエンジニアリングについて知ればしるほどビートルズのレコードに刻まれて音は不思議で当時の機材でどうやって録ったのか想像できない。

スタジオでどんなことをしていたのかお話を伺うことができたらどんなにいいか!




確かな音楽的手腕
ビートルズは中期以降、いろいろな楽器が導入されていきます。
ストリングス、ブラス、そしてオーケストラ。
これらのアレンジ、スコアリングはすべてジョージ•マーティンが行っているはずです。
Yesterdayの弦楽4重奏、In My Lifeのバロック風ピアノ、A Day In The Lifeのオーケストラなどなど。
複雑化していくビートルズの音楽を専門的な知識で支えたのはジョージ•マーティンです。

新たなサウンド作り
レコーディング黎明期の当時の機材を卓越したアイディアでフルに活用したオーバーダブに始まり、レコーディングのみに焦点をしぼった中期ビートルズにおいての新たなサウンドの発明などレコーディング技術の発展に大きく寄与していると思います。
僕が特に好きなのはBenefit For The Mr.Kiteのエンディングの不思議な音。
これは「おがくずの上を歩いているようなサウンド」というジョンの摩訶不思議なリクエストを受けてチーフエンジニアのジェフ•エメリックと作ったものです。
古びたオルガンを入手してきてまず録音。
そのテープをバラバラに切ってランダムにつなぎ、それを逆再生して作ったサウンドだそうです。
そう、ジェフ•エメリックの名前も忘れずに。

惚れ込んだものに徹底的に付き合う姿勢
ビートルズの楽曲のなかでも屈指の名曲、Strawberry Fields Forever。
これは実は2つのテイクがつなぎ合わされたものです。
ジョンがジョージ•マーティンにこのテイクとあのテイクが一番良かったからつないでくれとリクエスト。
しかしその2テイク、キーもテンポも違うものだったのです。
そこでジョージ•マーティンは2つのテイクのテープスピードを巧みに調整しキーとテンポを一致させ結合。
こうして希代の名曲はレコードに収録されたのです。

無茶だとおもえるような難題でもそれをできるかもしれない、できるはずだと真摯に受け止め実現させる。
ジョージ•マーティンの逸話を読むと、もの作りに必要な心構えを教わっているような気がしてきます。