2017年1月10日火曜日

オーバードライブサウンドの幕開け 〜Eric ClaptonとMarshall 1962 Bluesbreaker〜

Editor : Yosuke Hayashimoto

エレキギターをもっともエレキギター足らしめているサウンド、歪み(ゆがみではなくひずみ)。
過入力によって音がひしゃげたサウンドのことです。
過入力ということで、そもそもはいけないとされていた状態なのですが、エレキギターではそれが魅力的なサウンドとされ確立されてきました。

この歪みサウンドが始めてレコーディングされたのはどのレコードかというのは諸説あります。
そもそもエレキギターレコーディング史においてどの音を歪みと扱うかによっても意見が変わってきます。


しかし現在のロックギターに直結する歪み/オーバードライブサウンドを確立したレコードといえばエリック•クラプトンが所属したBlues Breakersのレコードだと思います。
そのなかに収められているフレディー•キングのカバー、ハイダウェイ。
これこそが歪んだエレキギターサウンドの最初の一歩だと思います。
仕様機材はギブソンのレスポールとマーシャルの1962。
1962はこれがきっかけでBlues Breakerというニックネームが付きマーシャルの伝説の機種として現在もリイシューモデルが作られています。

このレコードは衝撃を以て迎えられ、ロンドンの街中には"Clapton is God"の落書きが書かれ、ジェフ•ベックもジミー•ペイジもこれがきっかけでレスポールを手にすることになったそうです。

この曲のレコーディングの際、クラプトンは十分な歪みを得るためにアンプのボリュームを目一杯上げて臨んだそうです。
しかしエンジニアから「音がデカすぎるから下げろ!」との声。
対してクラプトンは「いいからさっさと録音ボタンを押せ!」と一歩も退かず。
喧嘩さながらのレコーディングだったとのこと。

イノベーションには往々にして旧来の慣習との戦いがつきまとうようです。